遺言について弁護士に相談するタイミング
1 どのようなタイミングで遺言の相談をするか
遺言について弁護士に相談するタイミングは、大きく分けて以下のようなタイミングになるかと思います。
① 他の方の相続があったタイミング
② セミナーや広告等で相続について考え始めたタイミング
③ 家族間での関係性が悪化したタイミング
多くの方はこのようなタイミングでご相談に来られます。
しかし、このようなタイミングで遺言の相談に行っても、遺言を作成できないという結果に終わってしまう可能性があることをご存じでしょうか。
結論として、弁護士に遺言の相談をするタイミングとしては60歳から65歳くらいまでの間が一つの目安になることと、その理由について解説していきたいと思います。
2 遺言がそもそも作成できない場合がある
遺言を作成する場合であっても、遺言者が認知症になっている場合には作成することができません。
よくある相談として、何も世話をしていない相続人が相続分を持つことに納得できないため、ご両親の遺言を作成して欲しいというものがあります。
しかし、ご両親が既に認知症でまともに会話できない状況や少し返答が怪しいという状況では、弁護士としても遺言を作成することができません。
そのため、後で後悔しないようにするためにも、ある程度目安となる年齢を設定して、その年齢になった際には一度遺言の相談に行かれるのが良いといえます。
3 60歳~65歳を目安に遺言の作成をオススメする理由
遺言は、認知症になった後には作成できないため、なるべく早く作成しておく必要があります。
そして、60歳~65歳は、退職して年金生活が始まるタイミングであり、これからの年金収入の目安とご自身の資産状況がある程度分かるため、相続時にどの財産を渡していくかを考えていくことができるようになります。
また、公証役場で作成する公正証書遺言書であっても、自分で作成する自筆証書遺言書で撤回することができますので、後から内容を変更したい場合には、その際に書き直すことができます。
そのため、60歳から65歳の間に遺言を作成しておき、その後の状況の変化によってその都度微修正を加えていくということができるようになるのです。
以上より、60歳~65歳の間には遺言の相談を弁護士に行っておくことがよいかと思います。
また、既に65歳以上になってしまった場合であっても、今から対策を考えておくことができますので、お早めに弁護士に相談するのが良いでしょう。